イエメン モカマタリNo.9

産地について

イエメンのモカマタリの生産地は、バニーマタル(Bani Matar)という地区が主要産地で、標高1,000~3,000mの山岳地帯に位置する場所です。イエメンの首都サナア(Sana’a)の南西に位置し、険しい山々が広がる地域で、標高が高く、昼夜の温度差が大きいため、コーヒー豆の成長が遅くなり、風味が凝縮されるという特性があります。

 この地域のコーヒーは、特にスパイシーでフルーティーな香りが強く、世界中のコーヒー愛好家に高く評価されています。

 また、この地域のコーヒーは、歴史的にモカ港を通じて世界に輸出されていました。

<ChatGPTより引用>

 場所的に見るとイエメンは西側が高山地帯で、その辺りがコーヒー豆の栽培に適した土地の様です。

 ここから南南東に位置するのがモカ港で、昔はエチオピアのモカと共にここから世界に輸出されていたみたいですね。

 2014年から始まった内戦で政情は不安定となっており、この辺りがコーヒー豆の品質に影響しているのでしょうか。

 最近は、一時的に紛争も落ち着いているようですが、恒久的に平和になれば品質の良いコーヒーをもっと作れると思うので、そこが残念なところです。

 そんな話をしているうちに、イスラエルがイエメンにミサイル打ち込んだというニュースがあり、更にモカマタリを取り巻く状況は厳しくなりそうです…。

コーヒー豆について

 品種ですが、一応アラビカ種に分類はされている様ですが原生種とされていて、はっきりしたことは分かりませんでした。

 確かに、今回試したものについては苦みが特に独特で、他のどの産地とも違った味に感じます。強いて言えばマンデリンに近いでしょうか。

 ただし、最近マンデリンを飲んでいないため記憶が曖昧ではありますが…。

 精製方式はナチュラルです。確かにウォッシュドと比べると緑っ気が殆どないのでナチュラルですね。ただ、ナチュラルでも見栄えのいいものはありますが、こちらはあまり見栄えが良くないかな。

 ナチュラルは、コーヒーチェリーがある状態で発酵させるものが多く独特の発酵臭があるものを見かけることが多かったですが、今回のものはそういった香りは殆どしません。

 これは多分、コーヒーチェリーをつけたまま乾燥させる時間を短くして、早々に脱穀して乾燥させたから?でしょうか。

 世の中、色々な精製方法があるものです。 

 また、モカマタリの特徴でよく見かける「ワインの様な」風味が生豆の状態であるか?と言われると、ワインか分かりませんが独特の酸っぱい香りがします。

 その他の特徴としては、とにかくカビ豆が多いところでしょうか…。これは、イエメンでは農家の屋根の上で乾燥される事が多いそうですが、その際に家の屋根が広くない場合は豆が十分に広げられずに折り重なって乾燥させられるため、湿気によりカビが生えるらしいです。

 この辺がもう少し改善すれば、安定した美味しいコーヒーになるのでしょうけど、何分政情が安定しないと難しいかな。

焙煎&テイスティング

2024/9/7焙煎

焙煎:

全体としてゆっくり目の焙煎でシティまでで仕上げた。水抜きもしっかり目。ただし、色付けは比較短め。

テイスティング:

苦みとコクが南米系ではあまり見られない独特の風味でパンチあり。甘みはあまり全面に出ない。飲み終わりにほんの少しワイン&ナチュラル風味を感じる場合があった。

2024/9/23焙煎(写真撮り忘れました…)

焙煎:

水抜きも色付けも短時間でやりミディアム寄りのハイまで仕上げ、豆本来の味を狙った。色ムラが多く、売り物にする場合は見た目が厳しそう。

テイスティング:

ナチュラルらしい風味が前面に出て、ワイン風味が増した。甘みも予想よりは前面に出る。酸味は強いが喉に刺さるほどではない。焙煎度的に苦みはあまりしないが、特性の重めのボディ感は当然そのまま出る。日数が経つとワイン感は衰えるが甘みが増してより飲みやすくなったかな。日が経つとワイン風味は無くなるが、香ばしさと甘みが増す印象。

2024/10/5焙煎

焙煎:

9/23の焙煎とほぼ同じイメージで焼き上げた。ただ、全く同じだと面白みがないため、水抜きは今回の方が多く行った。

テイスティング:

酸味は前回よりもかなり落ち着き、代わりに甘み・コク・苦みが出てきた。酸味はかなり穏やか。ナチュラル感は飲み終わり頃に少し出てくる程度。焙煎による酸味の消失が普通の豆よりも早いか。

総評

 エチオピアと共に「モカ」の名前を冠するコーヒー生産地の豆ですが、2つの国の豆には味の違いがある様です。エチオピアは酸味に、イエメンにはコクに良さがある感じでした。豆としての総合力は非常に高く、この高レベルにまとまった豆って他にどこがあったっけ?と思案する程です。
 ただし、一方で欠点豆の混入も他の生産地とは比べ物にならない程多く、念入りにハンドピックをしないとアンモニア臭がしてしまうなど、大手の豆売りは基本的に手を出せない品にも思われました。
 個人で楽しむor自家焙煎店でイートインのみ提供し豆売りはしない、などの利用法が想定されますかね。